異年齢同士のかかわり

 園庭を囲む木々や通用門前に広がるガーデンの森が黄色や赤色に染まり
この時期ならではの景観を楽しませてくれています。
園では園児たちがお店屋さんごっこを展開し、どの子も喜んで参加している様子が見られました。それぞれのクラスで製作した品物は丁寧に出来上がっており、どれも本物さながらに感じられました。開店当日は威勢のよい「いらっしゃいませ~!」のかけ声とともにどの店からも賑やかな声が響き、財布が入った絵本袋を持った子どもたちが口元をほころばせながらテラスを行き来してお目当ての品物をゲットして買い物を楽しんでいました。全店が売り切れて大盛況のおみせやさんごっこになり園児たちも大満足だったようです。次の日、持ち帰った作品をみた保護者の方々が「クオリティーが高くて驚きました」「家でさっそく使って遊んでいます」と門のところで声をかけてくださりました。
 その後、2歳児クラスバンビルームの子どもたちと年長クラスの子どもたちの交流がありました。母子分離の時期が定着しつつあるバンビちゃんたちを幼稚園最年長の園児たちが手を取ってエスコートする様子は見ていてとても微笑ましく、小さい子に優しく関わる体験や年上の子に刺激を受けたり教えてもらいながら遊んだりする体験をお互いに得るひとときになっていました。また年少児が初めて発育測定をしたときも年長児が年少クラスに行って着替えを手伝い応援してくれていたことも思い出され、園庭で学年が混ざって遊んでいる時間にも「泣いている子がいるよ」とか「~が欲しいだって」とか「お友だちの○○ちゃんがいないから探してあげて」など声をかけてくれている姿が浮かびました。おそらくですが、いままで自分自身が年長の子どもに面倒をみてもらった経験が生かされる時がきたのでしょう。
 異年齢の関わりでうまれるお互いの良い習慣が繰り返され、両者がまた一つ成長する機会を見てとても幸せな気持ちになりました。

園長 熊田佳美

壁を乗り越える体験

 いつの間にか朝晩の冷え込みを感じる季節になり、園庭の木々も色づき始 めました。先日、ママと一緒がいいと泣いて登園したAくんと通用門の近く でどんぐり拾いをしました。さっきまで大泣きしていたAくんは、ピタッと 泣くのをやめていつの間にかママの事も忘れてすんなりクラスに入ることができました。園生活にすっかり慣れてきた園児たちは頼もしく見えても、 まだまだ日によって朝が不安定な時があるかと思います。つい昨日まで張り 切って登園していたのに「今日は幼稚園に行きたくない」とぐずられると幼 稚園で何かあったのではないかと心配になることでしょう。成長の過程での 自己主張の現れ、園生活の活動レベルが上がっていくことでの苦手意識、友 だちとの出来事や体験で嫌な思いをしたなど、理由は色々考えられます。
 Aちゃんのように母子分離が一番の原因になっているような場合は、たく さん泣いて気持ちがすっきりしたところで何か違うことに気を引く事で解 決できました。しかし、活動の難しさや苦手意識に直面しているような場合 は、保育の工夫や気持ちの後押し、個別の指導、家庭でのサポートが必要に なり、時にはその子の成長発達そのものを待つことが必要になります。私た ち大人が指導やサポートをする時、苦手な事や嫌いな事を取り除いてあげる ことも改善の一つではありますが、100%子どもの言うことを鵜呑みにす るのではなく、現状を見極めて本当に取り除きやらなくてもいい内容を考え る必要があると思います。
園児たちのようにまだ幼い時に小さな壁一つ一つを乗り越える経験は 「心・技・体」を鍛えてくれる貴重な体験です。やがて大きな壁を目の前に したときに乗り越える力が備わった大人であってほしいためにも、子どもが 壁を乗り越えている時に直面したら、どうしたらその壁を乗り越えられるか を教え、応援する大人でありたいですね。

尊い命

 幼稚園の田んぼでは稲刈りが終わり、一斉にバッタやコオロギが登場して子どもたちの虫探しを盛り上げてくれました。また今年の9月は、シオカラトンボから赤とんぼへと変化しながらたくさんのトンボが園庭に飛んでいました。きっと自然界でヤゴが無事に育ったのでしょう。
夏休み明けには静岡県のこども園で起きたバスの置き去り園児死亡事故という痛ましいニュースがありました。教育現場や保育現場は人が育つ場であると同時に尊い命を毎日お預かりする場でもあります。あんな事故は決してあってはならない事です。それだけに危機管理対策や衛生管理は園生活において何よりも重要なことと捉えていた気持ちが更に引き締められました。子鹿幼稚園における園児の安全な生活は、園の教職員ひとり一人が責任をもって日々仕事に取り組んでいることで成り立っていると言っても過言ではないと自負しております。早朝から出勤し、園舎、園庭の見回りや掃除をし、危ない物が落ちていないか、破損している箇所はないかなど確認をし、雨上がりでアスレチックの丸太が滑りやすくなっているときは乾いてから使用した方が良さそうだと情報共有をしてから保育を始めるなどしています。またバス通園、徒歩通園に関係なく朝の受け入れから帰りの引き渡しまで、園児ひとり一人の所在や健康状況を観察することに従事して何か心配事項などがあると相談の声がかかり、園児の身体の状況を確認しています。
 同時に、子どもたちには命の大切さを教え、自分の命もまわりの命も守るために必要な安全生活や健康習慣を指導しています。園児たちは交通安全教室に続き、避難訓練に参加するなど体験から命の尊さを繰り返し学んでいきます。

園長 熊田佳美

マイナスから気づくメリット

 長い夏休みでしたが皆さんいかがお過ごしでしたか?
猛暑で熱中症警戒アラートが鳴る日が続いたと思えば、局地的な突然の大雨、新型コロナ感染症の感染拡大など、健康を維持しながら過ごす面で気が抜けない毎日だったことと思います。そんな状況であっても、今までの経験から得た対策や予防を講じながら普段はできなかった事や家族で楽しいひとときを過ごす事ができた夏休みになったことでしょう。
心機一転、幼稚園の保育活動も2学期が始まりました。1学期中に慣れて親しみを持ち始めた幼稚園やクラスの環境の中で、新たな活動体験を通してたくさんの事を学び、日々のちょっとしたきっかけで友だちができ、一人ひとりが力をつけて成長していく様子を見るのが今から楽しみです。
昨年の出来事を思い出してみますと、8月中に発令された緊急事態宣言が千葉県は9月30日まで延長となり、毎日午前保育で過ごしていました。
2学期の行事も予定を調整し改め、プレーデー(運動会)は10月の終盤に延期しました。おととしまで10月の初旬に実施していた頃は、まだ残暑が厳しい9月中から演技や競技の練習を始めていましたが、半月以上遅い時期に変更したことで気温が下がり運動しやすい陽気に練習をする事ができるようになったり積み重ねて練習する日数に余裕ができたりしたせいか意欲を持って最後まで活動に取り組んでいるように見えました。また、午前のみの開催にしてからは種目数も厳選したので当日までの集中力が増したように感じています。

 コロナ禍で失ったもの、得たものを天秤にかけながら良い方向を見つけていけたらいいですね。

園長 熊田佳美

力を養い、伸びやかに

梅雨の時期が続く晴れ間をぬって幼稚園ではプール活動の実施時期にな りました。プール遊びを休む園児は、室内に用意された遊びをして過ごしま す。水遊びに必要な身支度の習慣、プールに入る前の準備体操、水に入って いる間の注意点、濡れた体で足元が滑りやすくなっていて転倒に気をつける 必要があること、着替える時にはタオルでしっかりと体を拭き取り水分補給 をするなど、プール活動だけでもたくさんの覚えることが詰まっています。 けれども、まだ自分でできない事や初めてする事もあるので、担任をはじめ 職員が手助けしながら実施します。そして、安全と衛生管理に留意しながら 暑さをしのぎ、気持ちよく楽しく経験できるように有効に活動していきたい と思います。

今年度がスタートしてから園のホームページの活動報告もゆっくりと更 新していますが、皆さんご覧いただけましたでしょうか。最近は保護者参観 の様子を全学年一緒に掲載しました。全学年がクラスで制作活動をしていま したが、それぞれに制作の内容が違いました。参観が終わってから、緊張し てしまっていつものように話ができず、説明を早めすぎてしまったと猛反省 している担任の先生もいましたが、子どもたちはというと普段と変わらない 落ち着きぶりでした。むしろ良い所を見てもらいたい気持ちを感じるくらい 話をよく聞き、いつも以上に速やかな行動をとっていました。

私は、基本何事も張り切ることは大事だと思っているので、普段の姿を知 る者としては嬉しかったですが、先生たちは、いつもこうだと嬉しいだろう なと思ったりもしました(笑)。保護者の皆様にとっても、お子さんがクラ スの中でどんなふうに一斉の活動に参加しているのか目の当たりにして安 心されたことと思います。

園長 熊田佳美

一緒にハッピーバースデー

 昨年と同様に今年も梅雨入りの時期が早まっているような雨の天候が見 られます。その晴れ間をぬって、年長児の田植え、年長・年中の親子遠足が 予定通りに実施できました。ゴールデンウィークを明けてから幼稚園生活の 流れの感覚を身に付けてきた年少さんも親子遠足を後に控えています。健康 に楽しいひと時が過ごせますように。

 今年度から園行事の誕生会を開く際は、全クラス一緒にホールで祝う形を 再開しました。年少児から年長児まで全員でその月の誕生者をお祝いします。 誕生者がステージの上でクラスや名前、何歳になるのかなど発表したり、先 生たちが練習した舞台での催し物を視聴したり、嬉しさや楽しみが詰まった 素敵な会になっています。先日の誕生会は「いっしょにハッピーバースデー」 という演目でした。話の登場人物は、うさぎとりすとぞうと卵。それぞれの 誕生の季節を迎えながら互いに誕生日を祝いますが最後まで残った卵はな かなか割れずにいます。早く会いたい動物たちが抱きしめたり温めたりして 待ち焦がれていると卵が割れてかいじゅうくんの赤ちゃんが生まれました。 赤ちゃんの誕生を喜ぶ動物たちが口々に「会いたかったよ」「生まれてきて くれてありがとう」「これから仲良くしようね」「いつも一緒だよ」と声をか けている言葉を聞いてジーンと胸が熱くなりました。最近、命を失う様々な 出来事で胸を痛めることが多かったせいかもわかりません。

 命の大切さを子どもたちに伝えていく方法は、日頃の色々な場面で機会が ありますが、今回のように誕生の尊さを通じて園児たちが感じてくれたこと は、どの子にも優しく浸透していったであろうと思っています。

園長 熊田佳

友だちづくり

進級、入園から早一週間が経ちました。先日降った雨の湿りで植栽のつつじが咲き始めて園庭に色を添えてくれています。最初は泣いたり走り回ったりそれぞれだった年少児が、みんなと一緒の時間が穏やかに過ごせるようにと先生たちも一生懸命に奮闘中です。
先日、職員室でこんな話を聞きました。年長児のAちゃんは最近妹が生まれた女の子です。Aちゃんは日頃から人懐っこい性格で、実習生が来た時もいち早く甘えてそばに寄っていき、物おじせずに話しかけることができます。さっそく園庭で知り合った年中児のYちゃんと意気投合し、名前を聞いて「可愛い名前だね」と褒めてあげていたそうです。Aちゃんの名前への関心はそこだけで終わらず、担任の先生に「園長先生は何て名前なの?」「伊藤さんは?」と下の名前で呼んでいる先生たちとは違う呼び方をされている職員の事を聞いて、「きりこさんだよ」と教えると「可愛い名前だね」と言ったとのことでした。脇で一緒に聞いていた先生が「妹の名前を聞かれては可愛い名前だねって言われているのかな」と言っていましたが、(なるほどなあ)とうなずける話でした。幼稚園で友だちができ始めるとお互いに名前を呼び合うようになり、話の中で友だちの名前が出てくるようになります。社会性の嬉しい芽生えですね。でも、まだまだ新年度は始まったばかり。なかなか幼稚園の事をしゃべってくれない、お友だちの名前がでてこない、と焦って心配しないで嬉しい時がくるのを待っていてあげてください。
今年は振替休日を利用して長いゴールデンウィークがあります。新しい環境に慣れようとエネルギーを使って心身ともに疲れが見え始める時期と重なります。どうぞご家族でリフレッシュできる良い連休になりますように。

園長 熊田佳美

お子様の進級・ご入園おめでとうございます

頬をなでる風が少し生暖かいような春の空気を感じる季節になりました。
新しい年度の始まりは何度迎えてもまた新鮮な気持ちにしてくれます。 3月の卒園式では、呼名の返事、歩き方、お辞儀など一人ひとりが頼もしい 立派な姿で証書を受取る姿に感動し、修了式では、静かに耳をかたむけてお 話を上手に聞いている姿に感心しました。卒園した子どもたちは小学生とな って幼稚園で蓄えた知力、体力を発揮できるものと信じていますし、進級す る子どもたちや入園した子どもたちは日々の経験を重ねながら就学に必要 な力を身に付けていけるものと思っています。
幼い時期にたくさんの事を学ぶ中で、これは忘れないでねという話を機会 があるたびに伝えている事があります。1つめは「挨拶ができるように」。 人と人とのコミュニケーションの始まりは挨拶から始まります。簡単そうで いて案外できない子どもが増えているのも現実です。どこに行っても自分か ら気持ちよく挨拶ができるようになったら嬉しいですね。2つめは「上手に 話を聞けるように」。静かに聞くことは周りにいる人たちへの配慮に必要な 事ですし、内容をよく聞いていると頭の中にしっかりと記憶して次の行動や 日々の学習に繋がります。スポンジのように何でも吸収できる柔軟な脳を持 つ子どもたちには賢く色々な事を覚えていって欲しいですね。3つめは「友 だちと仲良くするように」。家庭を離れ社会に出ると家族以外の人々との人 間関係が生じます。物事の考え方や振舞いを自分中心でしてきて良しとされ ていた事も、集団生活では我慢をしたり譲ったりと相手の事を考えながら自 分の気持ちをコントロールしていく能力が必要になります。他人の気持ちも 考えられる思いやりの心をもった子どもたちになってくれたらきっと周り からも大切にされる人になるでしょう。 子どもたちに教えることは、まず 私たち大人が実行しなければいけません。担任をはじめ職員全員で協力し合 いながら一人ひとりの成長を応援していきます。保護者の皆様も明るく和や かな幼稚園づくりにご協力ください。どうぞよろしくお願いいたします。

園長 熊田佳美

膨らんでいく友だちの存在

 いよいよ3学期が始まろうとするタイミングでの大雪警報。冬休みの期 間が更に延びてようやく久しぶりに登園した園児たちはとても元気にしています。
  3月の総会が今年度も中止となっているため、1月が最後の会となる役員会を先日行いました。コロナ禍においてもPTA役員の皆さんには一年 を通じてクラス内の連携、プレーデー等のお力添えなど保護者を代表して 幼稚園を支えていただきました。PTA会計を管理する会計の方々には郵 便局と幼稚園を行き来し、ご足労をおかけしましたが、おかげさまで各家 庭からお預かりしている会費を園児たちに有効に還元してこられたと感 じています。改めて、幼稚園の園生活においてPTAの存在がより心強い ものだと痛感する時期になりました。
 園児たちはというと、クラス内では友だち同士の遊びが楽しくなってい て、年少児のクラスでも年長や年中クラスの園児たちのように先生に依存 しないで遊べるような力がいつの間にかつきました。ふらりと歩いていて も「園長先生一緒に遊ぼう」と誘われる事が減り、手持無沙汰を感じつつ も子どもの成長を嬉しく感じる時期です。そんな中、子鹿パーティーの劇 の練習が始まっていて、テラスの窓越しに役のお面をつけて嬉しそうに取 り組んでいる様子を見かけるようにもなりました。ホールの舞台での練習 も盛んになっていくと思いますので、黒子となって何気なく近づいて個々 の表現を楽しませてもらいつつ、力添えができるように過ごしていきたい と思っています。どうぞ楽しみにしていてくださいね。

園長 熊田佳美

寄せ合う力で得る力

 コロナ禍で迎えた令和4年。謹んで新年のお慶びを申し上げます。
得体のしれない感染症のウイルスとの戦いが始まってからもう2年が経とうとしています。最初の年(令和2年)は3月1日から臨時の休園を行い、卒園や修了まで園児と会う機会を失ってしまいましたが、昨年は集団生活の様式の工夫や個別の免疫力増加で園児たちの幼稚園生活を戻しつつ過ごしてきました。3年目となる今年こそは、新型インフルエンザ等の感染症扱いと同等の日常が戻る事を願いつつ、引き続き健康に皆で過ごしていけるよう努めていきたいと思います。保護者の皆様には毎日の検温や体調管理をはじめ、園活動内容にご理解いただきながら健やかに過ごせますよう引き続きお力添えをよろしくお願いいたします。

 3学期は一年間の保育活動のうちの集大成の学期になります。2月に予定している「子鹿パーティー」は、参観人数を親に限り2名までご覧いただけるようにと考えているところです。昨年12月にお越しいただいた「音楽発表」の年長組の発表日にご挨拶の中で触れた話題と重なりますが、各クラスで取り組む劇は一人ひとりに配役があって、小さな役者たちが協力し合って一つの劇を作り上げていく実り多い活動です。全員が揃って力を十分に発揮してこそ大成功に結びつきます。この期間の活動を通じて今までに経験して身に付けてきた力が充分に発揮でき、達成した満足感を獲得できますように。またクラスの一員としての自覚が高まり、友だちと力を合わせることの大切さを実感できますように。
 何事も力強く頑張って、笑顔あふれる一年にしていきましょう。

園長 熊田佳美