自分で選ぶ楽しみ

 空一面に広がる青空と紅葉で色づいた木々が絵画のように幼稚園の庭を囲み、これから冬の季節に向かうとは思えないほど暖かな日が続く中、思い切り戸外遊びを楽しんだり移動動物園でポニーに乗馬したりして晩秋の気持ちよさを感じる事ができました。昨年と同様に感染症対策の一環として園児だけで実施した「お店やさんごっこ」では店舗や品物選び、制作、売り買いごっこなど当日を迎えるまでの間、クラスやホールで活動しながら支度を進め、看板やディスプレイで先生たちの工夫がきらりと光ったとても素敵な空間に仕上がっていました。前日にお店巡りを全クラス一斉にすると、めいめいにお気に入りの品を決めた様子で次の日の楽しみが一気に膨らんでいました。当日は、売り手と買い手になって入れ替わりでお店ごっこをしましたが、その気になってなりきっている姿が微笑ましく、そして頼もしく見えました。絵本袋をぶらさげてテラスを行き来する園児に「何買ったの?」と袋の中を見せてもらうと、ドーナツと犬が入っていました。「あと100円で年長さんのお店のお買い物ができるね」と言うと、「うん!」と嬉しそうに買い物の続きをしていました。ホールの「こじかナルド」では本物のお菓子とジュースが引換券でもらえるようになっていたので、誰一人として来なかった子はいなかったようです。買い物の時に、どの品物にしようか選ぶ時、お菓子のクッキーかおせんべいを選ぶ時、どの子も自分で選べる楽しみを感じている様子が表情からにじみ出ていて可愛らしかったです。

 また、園内で大切な活動の一つとして継続している「絵本の貸し出し」は借りる日になると図書室に行き自分で選んで絵本袋に入れています。最近、年少さんも年中長児と同じように図書室からの貸し出しを始めました。先生に「茶色いシールの本を選んでね」と言われてノンタンや乗り物や小さい子向けのお話絵本を棚から選んでいます。自分で選んだ物に愛着を持つ。その体験を繰り返し、満足感を得ている子どもたちです。

園長 熊田佳美