こどもたちに映る社会

 新学期が始まってすぐに大雨警報が出るほどの天候となり、休園にする事態になりました。以前だったら秋の爽やかな気候を感じながら戸外で身体を動かして過ごせたのに、近年は異常気象ともいえる猛暑がいつまでも残り、戸外遊びや園庭開放も制限しながら9月を過ごしました。それでも稲刈りが終わった田んぼにはバッタやコオロギが登場して、園児たちを喜ばせてくれているので、これから訪れる秋の季節を有効に満喫していきたいと思います。

ある日、園バスの到着を待っている間に年中さんの女の子数名とおままごとをする機会がありました。レストランのお客さんになってほしいというので、私がお客さんになりました。メニューは何があるのか訪ねると、オムライスセットやハンバーグセットと教えてくれました。オムライスセットにはオレンジジュースとプリンがついていて、おすすめのオムライスセットを注文しました。この時に、今までのように店員さんに直接声をかけたところ、「タブレット注文になります」と言われました。それからしばらくして、何も持たずに近づいてきたのでどうしたのかと思ったら、「すみませーん。あのう、今、食材を切らしちゃいまして、オムライスセットが作れません」とのこと。見ると、おままごとに使う食材が他の子どもたちにすでに使われていて、容器の中が殆ど空でした。「タブレット注文」に時代を反映しているなと感心したところに、「食材の不足」と追い打ちをかけるように言われて、年中児って考える以上におませさんなんだなって、思わず笑ってしまいました。

子どもたちは世の中の様子を案外よく見ているものですね。子どもたちの目に映し出される毎日が楽しく充実したものになりますように。

園長 熊田佳美